2021年も行楽の秋を迎えました。今回紹介するものは北陸地方を鉄道で移動する際に便利な「北陸おでかけパス」と「北陸周遊乗車券」です!
前半は北陸おでかけパスの概要を、後半では本きっぷをお得に利用する方法を紹介します。
北陸おでかけパスとは?

JR西日本が発売しているトクトクきっぷの1つです。2,580円で北陸地方のフリーエリアが1日乗り放題となります。
広大なフリーエリア
このきっぷは広大なフリーエリアに加え、北陸新幹線の金沢駅開業により第3セクター化された鉄道会社線にも乗車できます。
利用可能な路線
◎JR西日本
北陸本線:長浜駅〜金沢駅
小浜線:青郷駅〜敦賀駅
七尾線:津幡駅〜七尾駅
越美北線(九頭竜線):越前花堂駅〜九頭竜湖駅
氷見線:高岡駅〜城端駅
城端線:高岡駅〜城端駅
高山本線:富山駅〜猪谷駅
大糸線:糸魚川駅〜中土駅
◎JR西日本以外
のと鉄道:七尾駅〜和倉温泉駅
IRいしかわ鉄道:全線
あいの風とやま鉄道:全線
えちごトキめき鉄道:市振駅〜直江津駅
乗車できる列車
区間内の普通列車に加え、別途特急券や急行券を購入することで特急列車や急行列車に乗車できます。
北陸おでかけパスのみでは特急列車や急行列車に乗車できませんのでご注意ください。
また、北陸新幹線を利用する場合は別途で乗車区間の乗車券と特急券が必要です。フリーエリア内の北陸新幹線に乗車する場合でも、北陸おでかけパスを乗車券として使用することはできません。
サンダーバード

敦賀駅〜金沢駅で乗車可能です。
大阪、京都方面から利用する場合は、北陸おでかけパスの区間外を含みます。
そのため、出発駅から北陸おでかけパスの始点駅である近江塩津駅までの乗車券を購入しましょう。
しらさぎ

長浜駅〜金沢駅で乗車可能です。
米原駅から乗車する場合は別途米原駅〜長浜駅の乗車券を購入しましょう。
ダイナスター

金沢駅〜福井駅で利用可能です。走行区間は全区間フリーエリアに入るため、別途乗車券を購入する必要はありません。
※記事執筆時点では、北陸おでかけパスは土日祝祭日のみ利用可能となっています。そのため、平日に運転される「おはようエクスプレス」と「おやすみエクスプレス」は未記載としています。
能登かがり火

金沢駅〜和倉温泉駅で乗車可能です。
えちごトキめき鉄道 観光急行

北陸おでかけパスを用いると第3セクター・えちごトキめき鉄道で運転されている観光急行列車にも市振駅〜直江津駅で乗車できます。
北陸おでかけパスを使用できる日
北陸おでかけパスは土休日限定で利用できます。
また、発売日は乗車日の1ヶ月前から3日前までです。そのため、前日や当日に購入することができません。
前もって購入しておくようにしましょう。
価格
おとな 2,580円 こども 1,030円
北陸おでかけパスの購入方法
北陸おでかけパスはフリーエリア内のみどりの窓口、みどりの券売機の他、インターネット予約「e5498」で購入可能です。
購入可能駅はこちらで紹介されています。
e5489で購入すると利用日当日でもみどりの券売機で受け取りできる
お勧めの購入方法はインターネット予約・e5489での購入です。
窓口に出向いて購入しなくて良いだけでなく、北陸おでかけパス利用当日にみどりの券売機で受け取ることができます。
e5489で予約したきっぷの受取可能駅はこちらで紹介されています。
JR西日本管内の全てのみどりの券売機で受け取ることができる訳ではないため、ご注意ください。
北陸おでかけパスを使いこなしてお得に旅しよう
ここからは北陸地方を出発地点としない場合のお得な利用方法を紹介します。
いずれの場合でも、以下の条件を満たすことでお得に利用できます。
- 片道の場合は金沢駅より先へ行くこと
- 日帰りの場合は往復で北陸おでかけパスを利用すること
- 青春18きっぷと併用する
大阪駅から利用する場合は米原駅を経由の上、しらさぎ号を利用する

大阪駅から利用する場合は米原駅を経由するルートを組むことがお勧めです。
理由は米原駅で北陸おでかけパスの受取り駅として利用することでお得に移動できるためです。
【節約したい場合】大阪駅から米原駅は新快速を利用する
節約したい場合は大阪駅から米原駅まで新快速を利用しましょう。新幹線の特急料金分を節約できます。
最高時速130km/hで走行し、大阪駅と米原駅の間を約1時間25分で結んでいます。
本数も多く利便性が高いため、新幹線を利用せずとも快適に移動することができます。
【ラクしたい場合】新大阪駅〜米原駅は東海道新幹線を利用し、乗継割引を適用させる
ラクしたい場合、この区間を東海道新幹線を利用しましょう。東海道新幹線を利用することにより、米原駅から乗り継ぐ特急列車の特急券に乗継割引を効かせることができます。
乗継割引とは?
指定された駅で新幹線から在来線特急列車を乗継ぐ際、在来線特急列車の特急券が半額になる制度のことです。
乗車券は出発駅〜米原駅、米原駅〜長浜駅で区切る
乗車券は出発駅〜米原駅、米原駅〜長浜駅で区切る必要があります。
理由は、大阪駅から長浜駅の乗車券は営業キロ数100kmを超えていますが、途中下車(旅行の途中で改札を出ること)ができないためです。
※大阪駅〜長浜駅は大阪近郊区間に含まれます。大都市近郊区間では100kmを超える乗車券であっても下車前途無効(途中下車不可)となります。この区間は経路を新幹線経由にしても同様となります。
ややこしくなってきたため、実施することを整理します。
事前に実施すること
✔ 北陸おでかけパスをe5489で予約する(出発日の3日前まで)
当日に実施すること
✔ 出発地から新大阪駅、または京都駅に向かう
✔ 新大阪駅〜米原駅の新幹線特急券を購入する(新幹線に乗車する場合のみ)
✔ 米原駅〜金沢駅の特急券を購入する
✔ 出発駅〜米原駅の乗車券を購入する
✔ 大阪駅から新快速に乗車する(新幹線を利用する場合は新大阪駅で乗り換える)
✔ 米原駅で改札を出る
当日米原駅で実施すること
✔ みどりの券売機で北陸おでかけパスを受け取る
✔ みどりの券売機、もしくは通常の券売機で長浜駅までの乗車券を購入する
✔ しらさぎ号に乗車する
気になる運賃比較(大阪駅から金沢駅まで)
大阪駅から出発する場合
サンダーバード号を利用する・通常購入
- 乗車券(大阪駅〜金沢駅):4,840円
- 在来線自由席特急券(大阪駅〜金沢駅):7,260円
合計:7,260円
米原駅まで新快速を利用する・通常購入
- 乗車券(大阪駅〜金沢駅):4,840円
- 在来線自由席特急券(米原駅〜金沢駅):2,200円
合計:7,040円
新幹線を利用する且つ米原駅を経由する・通常購入
- 乗車券(大阪駅〜金沢駅):4,840円
- 新幹線自由席特急券(新大阪駅〜米原駅):2,530円
- 在来線自由席特急券(米原駅〜金沢駅):1,100円 ※乗継割引適用
合計:8,470円
米原駅まで新快速に乗車し北陸おでかけパスを利用する
- 乗車券(大阪駅〜米原駅):1,980円
- 北陸おでかけパス:2,580円
- 乗車券(米原駅〜長浜駅):200円
- 在来線自由席特急券(米原駅〜金沢駅):2,200円 ※乗継割引適用
合計:6,960円
米原駅まで新幹線に乗車し北陸おでかけパスを利用する
- 乗車券(大阪駅〜米原駅):1,980円
- 北陸おでかけパス:2,580円
- 乗車券(米原駅〜長浜駅):200円
- 新幹線自由席特急券(新大阪駅〜米原駅):2,530円
- 在来線自由席特急券(米原駅〜金沢駅):1,100円 ※乗継割引適用
合計:8,390円
以上の結果から、前述したお得に利用するための条件が見えてきます。
- 片道の場合は金沢駅より先へ行くこと
- 日帰りの場合は往復で北陸おでかけパスを利用すること
例えば、片道の場合は金沢駅より先の和倉温泉駅、IRいしかわ鉄道とあいの風とやま鉄道線を利用して富山駅を目指す場合は北陸おでかけパスを使用することでお得に移動することができます。
往復利用する場合、フリーエリア内は乗車券不要になりますのでその運賃分がお得になります。
青春18きっぷと併用する

大阪方面から青春18きっぷを利用して新潟、山形、秋田方面へ向かう場合は北陸地方を経由することで効率良く移動することができます。
しかし、北陸新幹線金沢駅開業により金沢駅から新潟県の直江津駅まではJR西日本から第3セクターへ経営移管され、青春18きっぷを利用して通過することができなくなりました。
青春18きっぷのみで新潟や東北地方の日本海側を目指す場合、関東地方を経由する必要があります。これではあまりにも時間が掛かり過ぎます。
金沢駅から直江津駅までは運賃が3,780円掛かります。さらに、各社の連絡運輸規定により金沢駅から直江津駅までの乗車券は1枚で購入することができません。
金沢駅では金沢駅からあいの風とやま鉄道の越中宮崎駅までの乗車券(2,260円)を購入し、直江津駅の窓口で乗越精算して1,520円を支払う必要があります。
これではあまりにも面倒ですね。乗換時間が少ない時は致命傷になります。
そこで、北陸おでかけパスの登場です。
金沢駅から直江津駅の間を北陸おでかけパスを使用する場合、2,580円で通過できます。
1,200円も浮けば駅弁が買えますね!
そして、北陸おでかけパスを所有していれば、別途特急券を購入することでフリーエリア内の在来線特急列車に乗車することもできます。
そのため、効率の良い移動が実現可能です。
青春18きっぷを所有していれば、JR線内は自由に途中下車できます。北陸おでかけパス受取りの制約も受けにくいです。
関東地方から行く場合は「北陸周遊乗車券」を利用しよう

関東地方から北陸地方へ行く場合は「北陸周遊乗車券」が便利でお得です。
北陸おでかけパスと同様のフリーエリアが2日間乗り放題、しかも通年使用可能となります。
ただし、利用条件が厳しいため注意が必要です。
北陸周遊乗車券の利用条件
北陸周遊乗車券は、北陸新幹線を「新幹線eチケット」(えきねっとトクだ値含む)を利用して、東京駅から上越妙高駅の間を発駅とし、糸魚川駅から金沢駅を着駅とした乗客のみが購入できます。
購入時にはこの利用条件を満たしていることを証明するため、新幹線eチケットを利用したことが分かるもの(購入時のプリントアウトやスマートフォンの画面)を提示する必要があります。
前述の条件を満たし北陸新幹線に乗車した当日または翌日に限り発売となります。
価格(北陸おでかけパスと同様)
おとな 2,580円 こども 1,030円
発売場所
糸魚川駅、黒部宇奈月温泉駅、富山駅、新高岡駅、金沢駅の「みどりの窓口」または「みどりの券売機プラス」で発売されます。
糸魚川駅と黒部宇奈月温泉駅には「みどりの窓口」がありませんので、「みどりの券売機プラス」でオペレーターに電話して発売してもらいます。
お得に使用する方法
「えきねっとトクだ値」や「お先にトクだ値」と組み合わせることで、安く北陸地方の旅を楽しむことができます。
「えきねっとトクだ値」や「お先にトクだ値」については、こちらを参照ください。
北陸地方をお得に旅しよう
今回は北陸地方のお出かけに最適な「北陸おでかけパス」と「北陸周遊乗車券」を紹介しました。
利用するための制約が少々厳しくなっているものの、上手く使いこなすことで節約しつつ且つ効率良く旅できます。
是非、これらのきっぷを活用して北陸地方の旅を楽しんでみてください!
最後までご覧いただきありがとうございます。